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血管も、しわも、あたなの一部でしょぉ

ポール・ニューマンが亡くなって
一ヶ月が経った。

フロリダの国内線空港で、
雑誌『PEOPLE』のポール・ニューマン特別号が
棚に置かれていた。

スーパーの食品棚でもないのに、
一番奥のものを手にした。

レジでは、スロバキアのおばちゃん二人が、
お土産もので悩んでいる。

その後ろに並んだ。

反対側にもレジはあったらしく、
奇麗な銀髪をおかっぱにカットしたおばあさんが
ひょこりと顔を出し、
こちらにまわれと合図をくれた。

微笑むポール・ニューマンの顔を表に、
何やらビタミン入りの水とを
レジスター前に置く。

ポール・ニューマンの顔の上に、
しわくちゃの手が、
トンッと、置かれた。
そのまま、その手は、
トンッ、トン、トン。
と、彼の顔をやさしくたたいた。

「これ、大事にとっておいてね」

彼女は言った。

「・・・うん 折れ曲がらないようにしないと」
そう一言残し店を出た。

空港の真ん中で一人、
なんだかとても、
どうしようもなくなっていた。


私は、どこに行けばいいのか、
分かっているはずだった。

勇気をもらえるはずの
マクトゥーブという言葉が、
私を不安にさせることもある。

レジの、おばあちゃんのしわくしゃの手に
いっぱいのありがとうを感じた。

気を取り直して、
目的地にちゃんと向かわないとな。

それはすぐそこに、
そしてそのずっと先に