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覆面の下には

「あ」と言って、「・・・。」
その間にか、もう少しの間にか、
日本に帰る日。
「ごめんね、誰も空港に送って行けないから、リモー呼んだ」
との書置き。
ふむふむ。朝、10時にリモーが来るのか・・・。

リモーとはリムジンのこと、しかし、別にあの長ぁいリモーでもない。

トランク持ちたくなさそうにチョコチョコしたおじさん。
少し英語がカタコト。
笑顔で私を黒塗りのリモーに・・・。

中に入ると、幾年分ものコロンやらホコリやら汗やらが混じった匂いが強い。
後部座席に腰掛けても、後ろで、ガンッ ガンッ バシッなどと、
トランクが閉まらない様子。 何故だ・・・。
たった一個のスーツケースが割りと大きな車に入らない。
何とか入った様子でやっと出発。
バロバロバロ・・・と変な音が車からする。
運転席のドアは内側の壁がはがれて、ドアの構造がむき出しに・・・。
おしゃれだなぁ 否、古い車だなぁ。

途中、トランクが開いたりしたが、無事空港に到着。
荷物を出してもらったのに、あいにく持ち合わせがなく、
チップも渡せず、ごめん。家の人の最後の支払いで
もらってくださいおじさん と心で思いつつ、
自分の乗るエアラインの列を見つけて並ぶ為、
入って行くと、誰かに声かけられた。
振り返ると、ニューヨークヤンキースの野球帽をかぶった
白人の今時な兄ちゃん。
一瞬目が合うと「こちらに来てもらえますか」
と、Tシャツの裾をチラリとまくる。
警察バッジじゃないの。L.A.P.D.じゃないの。
「え、なに?なに?」と思いながらも、言われるまま少しよける。
エアラインの方が、私が、知らない人に声かけられてると思い、
「お客様、どこまで?」と来るが、また、その彼がTシャツの裾めくると、
ス~っと後ろに下がって行ってしまった。

私服警官が、何故私に?
しかし、目を見てみると、咎める様子も、厳しい様子もなく、
優しささえ感じられる。
「実は、あなたの車を尾行していました」
「へ?」
「あなたの乗って来た車は、タクシーなどとして活動してはいけない
サインがあるんです」
「あ、そうなの?サインはわからんけど、そうかもね」
と言うと、少し笑って、「だから、いくら請求されてどこから雇ったんですか」
と聞くので、私は今回、チップすら払ってないので、
ここに電話して聞くと、全部わかるよ、と電話番号を渡す。
「まぁ、ようするに、あなたは容疑者の目撃者となるんです」
「なるほど」「連絡先を教えてください」
教えました。 何か、格好が普通の兄ちゃんだから、
はた目には、ナンパ成功ってところか・・・。

まぁ、チェックインしたり、何かして、道路に目をやると、
パトカーやら、人やらが増えていて、あのおじさんが、
何やら弁明している様子。
あの兄ちゃんの横には、パートナーらしきサングラス兄ちゃんが居て、
普通のホンダに手をかけている。
あれは、わからんなぁ・・・。 覆面って凄いなぁ。

いつまでも、いつまでも、道路の真ん中にその人たちの姿が見えていた。
おじさん。なんか、わからんけど、もう一回、遠くに見えるおじさんに、
ちいさく、おじさんって思った。

そうそう、もう今日ですね、20日発売でRe:s(りす)リトルモア社、
4号目が出ています。
今回、とある曲から物語りを派生させていただくという、いつもと違った形に・・・。
その曲の生みの親、水戸華乃介さんのウェブサイト、
星暮らしの手帳」でも紹介していただき、ありがたき・・・。

明後日から25日まで、八丈島に行ってきます。