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AFより

イニシャルトーク。

イニシャル表現。

私は、自分が何か書く時に、それをするのが
得意でない。

今朝、久々にMバーガーに行く。
サラダにきんぴらバーガー。

ガラス越しに隔離された人が転々と座って
思い思いのバーガーを食している。

ノン隔離側には人が居ない。

眼下には、黄色いイチョウの葉っぱを掃くおばさん。
近所に居る、私の玄関まで掃いてくれる親切なOさんに似ているので、
瞬間、こんなところまで?と驚くが、よく見ると違っていた。

そこに、使い慣れない携帯電話が震えた。

知らない番号・・・。

他に客が居ないのをいいことに、
無作法にも出る私。

「はい」
知っている人でした。Yさんでした。
まだ、登録していなかっただけでした。

Yさんとは、イタリアロケで、ずっとお世話になりっぱなしでした。

ある日、スパゲッティの一つでも食べながらYさんが
「うちのTって知ってます?」と言った。
「もちろんですよ、でも、10年くらい会ってないなぁ」
「T、私の上司なんです よろしくって言ってましたよ」
「えぇ~ そうなんですか!まさかイタリアでTさんの
名前が出るとはなぁ!私、彼に伝えなけりゃいけない
事があるんですよ」

日本に帰って来て間もない頃、
トークライブ中に沢山の着信が残っていた。

かけ直してみると、Tさん。
「ひさしぶりに飯でも行くか」
「はい ぜひ」

以前私は、小説を書く際、
変わっている上、素敵なT氏の名前を
無断で拝借した事があった。
彼がモデルではないが、
名前は相当変わっているものをそのまま使っている。
会って謝らねば。

「うん 知ってたよ」
笑いながら言った。

10年も会っていない人と再会するのは、
会う直前どこか緊張する。

随分、髪が白くなっているが、
何も変わらない。

変化しているかも知れない事が怖いのか。

しかし、以前、共に食事をした者同士というのは、
また、同じ釜の飯を食すと、何もなかったように
笑い合える。

Tさんは、人生を日数で換算し、
今まで何日生きてきたから、
後だいたい何日とするだろ?
そうすると、
時間が勿体無いし、
色々やっておきたい事があると、
少年の様に語っていた。

Mバーガー店内は、有線が壊れていたのか、
静かだ。
「おぉ~Yさん 先週ね、Tさんと再会しましたよ~」
「あ、ねぇ・・・」
「それでね、Yさんは?って聞くと、編集入ってて忙しかったって」
「そうなんですよ」
「だから、今度また一緒に・・・」
「いや、それでね文子ちゃん」
「はい」
「Tが昨日亡くなったんです」

神様さぁ、どうして、私をこのタイミングで
彼と再会させたんですか?

「Tが言ってたんです 文子ちゃんと会ったって」
「・・・。」

人は死ぬなぁ、しかもよく死ぬ。

ばんばん、毎日、この瞬間もあの瞬間も

私に、毎日黒い服着て過ごせってか。

いや、死を咎める気はない。

恐れる気も、蹴散らすつもりもない。

だから、T氏の様に、
毎日、その瞬間が来るまで、
どんな日々でも、
生きている事を実感しながら
過ごすのが、ずっと当面の
「出来る事」なのかもしれない。

何かがもし変わっても、
私は、あなたが
変わっていないと
思っています。